家族は、出会うべくして出会うもの。
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マリオン「ジェシーが父親になるなんて、感慨深いわね」
ジェシー「あのな……」
ジェシー「セシルから何を聞いたか知らないけど、あいつだって人のこと言えないぞ」
ジェシー「真面目なフリして裏では結構遊んでいたし、元カノの数は俺より多いんだから」
マリオン「そうなの?やるわね、ボス」
職員A「お待たせしました」
職員B「本日はお越しいただき、ありがとうございます」
ジェシー「よろしくお願いします」
職員A「推薦状をお持ちいただけましたか?」
ジェシー「はい。こちらです」
職員A「まぁ、二通も?早速拝見しますね」
職員A「『お前たちの希望する額を寄付してやるから、ジェシーとマリオンに養子を渡せ』……何ですか?この人を馬鹿にしたような推薦文は」
ジェシー(セシルさん……!?)
職員A「一体誰がこんなことを……」
ジェシー(何考えてんだ、あのバカ!!)
職員A「『アレクシス・ゴールド』……ゴールド?もしかしてWindenburgの名士、ゴールド家の方?」
ジェシー「……ゴールド財閥の会長です」
職員B「まぁ、そんな方とお知り合いなんですか?」
マリオン「えぇ。彼の大学時代の友人で、親友なんです」
ジェシー(マリオンさん……!?)
職員A「そうですか。いくらくらい寄付していただけるのかしら?」
ジェシー「……本人の言う通り、希望の額を伝えたら良いんじゃないですか?」
職員A「以前は多大な寄付をしてくださる方がいたのですが、数年前から連絡が取れなくて困っていたんです」
職員A「会長さんには、こちらから直接ご相談させていただきますね」
ジェシー「好きなだけ分取ってください」
職員B「もう一つの推薦状も拝見してよろしいですか?」
マリオン「もちろんです」
職員A「『私ケヴィン・グリーンは、ジェシー・カーキ氏とマリオン・レインボー氏を養子縁組の養親として推薦致します。両氏は実直な人柄で、家族をはじめ友人や同僚から厚く信頼されている人物であり……』」
職員B「こちらは素晴らしい推薦文ですね!」
ジェシー(あいつ、他の奴に書かせたな……)
職員B「私、この方知ってるわ!San Myshunoの美術館で個展をしている、有名な画家の先生よ」
職員A「そうなの?」
マリオン「家族と呼べるくらい仲の良い、私の大親友です」
ジェシー(……いつから?)
職員A「お二人は顔が広いんですね。信頼に足る人物のようです」
職員A「養子縁組の準備をします。お待ちの間、どうぞ施設内をご覧ください」
マリオン「ありがとうございます」
ジェシー「結局、最後に勝つのは金と権力か……」
マリオン「ボスは良い意味でも悪い意味でも、人の動かし方がよくわかっているわね」
ジェシー「悪い意味って……」
マリオン「まぁ、何だって良いじゃない」
マリオン「お金も権力も人脈も、全て実力の内よ。さぁ、私たちの元に来るラッキーな子供を探しましょう」
ジェシー「……そうだな」
ジェシー(まずは、その辺の子供に話しかけてみるか……)
ジェシー「こんにちは」
女の子「……こんにちは」
女の子「あなた、養子をもらいに来たんでしょう?」
ジェシー「そうだよ。俺はジェシー。君は?」
女の子「ノエル」
ジェシー「ノエルか。可愛い名前だね」
ノエル「……」
ジェシー(なかなか気難しい子だな……)
ノエル「幼児は、みんな砂場にいるわ。養子が欲しいならあっちに行って」
ジェシー「俺はノエルと話したいんだ」
ノエル「ウソよ。私に用なんてあるわけない」
ノエル「養子をもらいに来る人が選ぶのは、赤ちゃんか幼児だけ。私みたいな大きい子供に興味なんてないわ」
ジェシー(この子……)
マリオン「ねぇ、ジェシー!」
ジェシー「ん?」
マリオン「ピンと来たわ。私、この子にする」
マリオン「この子は将来、絶対イケメンになるわ!」
ジェシー(顔で選ぶの……?)
ジェシー「マリオン。子供の顔なんて成長過程で変わるんだから、わからないだろう?大体養子を選ぶ基準が顔って……」
ノエル「その子はダメ!!」
ジェシー「ノエル?」
ノエル「ノアは私の弟なの。連れて行かないで!」
ジェシー「弟?」
ノエル「……本当の姉弟じゃない。でも、この子が施設に来た日から私が面倒見てきたの」
ノエル「ノアって名前も私がつけた。だから離れ離れにしないで」
ジェシー「ノエル……」
マリオン「血の繋がらない姉弟ね……どこかの姉妹を思い出さない?」
ジェシー「そうだな」
ジェシー「なぁ、マリオン。俺もピンと来た」
マリオン「え?」
ジェシー「養子にするのは、一人でなくても構わないよな?」
マリオン「まさかジェシー……一度に二人も?」
ジェシー「だって、姉弟を引き離したら可哀想だろう?」
マリオン「それはそうだけど……」
ジェシー「ノエルはしっかりしてるから、きっとノアの面倒もよく見てくれる。カイルとも対等に話せるはずだ」
マリオン「……子育て初心者の私たちが、一度に二人の親になれるかしら?」
ジェシー「我が家には、娘ロスで寂しがってるローズがいるだろう?子育てなら喜んで協力してくれる」
マリオン「……まぁ、これも何かの縁かもしれないわね」
ジェシー「とりあえず提案してみよう。自分の人生は、自分で選ばせてあげないとな」
マリオン「良いお父さんね。賛成」
ジェシー「なぁ、ノエル。提案があるんだ」
ノエル「……何?」
ジェシー「俺たちは、ノエルとノアを養子に迎えたい」
ノエル「私も?」
ジェシー「そう。『普通』の家庭ではないかもしれないけど、不自由のない生活とたっぷりの愛情は保証する」
ジェシー「俺たちの元に来るかどうかは、ノエル。君が決めて良いよ」
ノエル「え?」
ジェシー「施設に残るか、ノアと一緒にうちに来るか。ノエル次第だ」
ノエル「……」
ジェシー「今すぐに決める必要はない。また会いに来るから、考えておいて」
ノエル「………………」
ノエル「わかった」
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ケヴィンの書いた推薦文は、ワイアット監修です。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m