護るためには、壊さなければならないものもある。
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エマ「あぁ、もう!なんて可愛いの!!」
エマ「こんにちは、アル。お姉ちゃんだよ」
クロエ「こんなに可愛い弟と妹なら、永遠に眺めていられるね」
セシル「眺めるだけなら楽だけどな。世話は大変だぞ」
クロエ「大変って……どうせ使用人の皆さんに任せているんでしょう?」
ケヴィン「セシルも積極的に面倒見てるよ」
クロエ「そうなの?意外……」
セシル「親として当然だ。お前たちのことも、ちゃんと世話していただろう?」
エマ「それはどうかな?」
セシル「あ?」
エマ「セシルの子供に対する接し方には不安が残るけど……子育て大ベテランのパパがいるから安心だね」
クロエ「そういえば、パパは今の私たちと同じ歳で親になったんだよね」
ケヴィン「そうだな」
クロエ「私なんて自分のことで精一杯なのに、この上子供なんて……改めてパパのこと尊敬しちゃう」
セシル「子育てに関して尊敬する分には構わないが、子供を作る点は絶対に真似するなよ」
エマ「パパじゃないんだから、大丈夫だって」
ケヴィン「……」
ケヴィン「ところで、エマは彼氏と上手くいっているのか?」
エマ「うん」
エマ「高校生の頃のように気軽には会えないけど……その分、毎日連絡を取り合ってる」
エマ「ディランは実家の会社を継いで、毎日仕事を頑張ってるよ。私たちの将来のために、まずは親に認めてもらえるような一人前の男になるんだって」
セシル「良い心掛けだ」
エマ「私たちは大丈夫。でも、クロエはどうかな〜?」
ケヴィン「え?」
クロエ「エマ!!」
ケヴィン「まさか……クロエ、お前も恋人ができたのか?」
クロエ「えーっと……それはその……」
ケヴィン「クロエ。隠し事はしない約束だろう?」
クロエ「……レナードっていう後輩の男の子と付き合ってます」
ケヴィン「レナード?」
エマ「パパ、何回か会ったことあるでしょう?」
ケヴィン「そうなのか?」
ケヴィン「後輩の男の子って……もしかして個展に来ていた、クリスの甥っ子のことか?」
エマ「パパってマジで鈍すぎ」
ケヴィン「クロエ、お前……」
クロエ「実はね、私たちが付き合うことになったきっかけはパパだったの!」
ケヴィン「……え?」
クロエ「レナードとは正直、あまり気が合わなくて……最初は交際なんて考えられなかったんだけど、『パパのことが好き』っていう共通点があったおかげで仲良くなれたの」
クロエ「パパは、私にとって何よりも大切な宝物だもん。彼氏にだって大切にしてほしい」
クロエ「レナードなら、きっと私と同じようにパパのことを愛してくれるって思ったの」
ケヴィン「クロエ……」
クロエ「私は彼氏よりもパパが好きだし、たぶん彼氏も私よりパパのことが好き」
セシル「……どういう意味だ?」
エマ「あー、変な意味じゃないよ」
エマ「レナードは、ケヴィン・グリーンって画家の大ファンなの」
セシル「変な意味ではないが、変な彼氏だな」
ケヴィン「わかった。そこまで言うなら、交際は認める」
クロエ「本当?」
ケヴィン「あぁ。節度を守って、学業を優先するんだぞ?」
クロエ「約束する!ありがとう、パパ」
エマ「……何アレ。私の時と随分反応が違うんですけど」
セシル「お前も、もう少し賢く立ち回るべきだったな」
セシル「アリシアに恋人ができたらケヴィンがどんな反応をするのか、今から楽しみだ」
エマ「楽しみって……」
エマ「アリシアは大丈夫だよ。私たちが失敗体験と成功体験を教えてあげるから」
ジュリアン「俺がアルフレッドとアリシアの後見人だって」
ジュリアン「本当、兄さんって何考えてるんだろう?」
リック「光栄じゃないですか。それだけ旦那様から信頼されているということです」
ジュリアン「信頼ね……」
ジュリアン「俺がレイチェル・レッドとキース・パープルの息子だってこと、忘れてるんじゃない?」
リック「……」
ジュリアン「兄さんのことは尊敬しているけど、もう少しリックのストイックさを見習って欲しいよ」
リック「どういう意味です?」
ジュリアン「俺のこと、監視してるでしょう?」
リック「……人聞きが悪いですね」
リック「監視ではありませんよ。身辺警護です」
ジュリアン「違うね」
ジュリアン「俺の護衛を担当しているあんたの部下は、『人を消す方法』を知っている」
リック「……」
ジュリアン「あぁ、誤解しないで」
ジュリアン「責めてるわけじゃない。むしろ褒めてるんだ」
リック「褒める?」
ジュリアン「お人好しの兄さんを護るなら、ストイックでいてもらわないと困る」
ジュリアン「身内であろうと疑いの目を向けて、いざという時には容赦なく消す。それくらいのストイックさが必要だ」
リック「……」
ジュリアン「ワイアットにマリア、クリスにビクトリア。兄さんの周りにいる人間は優秀だ。でも……」
ジュリアン「『裏の世界』のことは、何も知らない」
ジュリアン「リック。俺が兄さんの周りにいる人間で、最も評価しているのはあんただ」
ジュリアン「アルフレッドとアリシア。どちらかは、いずれこの家を継ぐことになるだろう」
リック「しかし、旦那様は後継者にする気はないと……」
ジュリアン「兄さんはね。でも、あの二人はどうだろう?」
ジュリアン「使用人のために、自分の人生を犠牲にするような人の子供だよ?」
リック「……」
ジュリアン「きっと、どちらかがこの家を継ぐと言い出す」
ジュリアン「護るものが増えて大変だとは思うけど、この家を任せられるのはあんただけだ」
ジュリアン「兄さんが何と言おうと、アルフレッドとアリシアは後継者として護ってほしい。良いね?」
リック「……」
リック「かしこまりました。まぁ、始めからそのつもりでしたし……」
リック「俺も『裏の世界』に関して信用しているのは、ジュリアン様だけです」
リック「あなたが仰るのなら、従っておいて間違いないでしょう」
ジュリアン「気の合う人がいてくれて良かった」
リック「ご安心ください。ゴールド家を護るためなら、汚れ役も買って出ますよ」
リック「旦那様の敵に回るようなことがあれば、あなたのことも容赦なく消します」
リック「ジュリアン様」
ジュリアン「……」
ジュリアン「あんたのそういうところ、本当好き」
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複雑な信頼関係。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m