過去の傷を癒せるのは、真っ直ぐで不器用な無償の愛。
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マリオン「いよいよ明日ね」
マリオン「ノエルは、この家に残ってくれるかしら?」
ジェシー「残ってはくれるだろう。でも……」
ノエル『事情が変われば、また施設に戻されるかもしれない。だから……』
ノエル『お別れの時に悲しくないように、準備をしているの』
ジェシー「このままじゃ、本当の家族にはなれないよな……」
マリオン「何か言った?」
ジェシー「……いや」
ジェシー「ちょっとノエルの様子を見てくる」
マリオン「明日は早いんだから、ほどほどにね」
ジェシー「了解」
ジェシー「ノエル」
ジェシー「寝る前に少し良いか?」
ノエル「……うん」
ジェシー「明日は施設で面談があるだろう?今のうちに、腹を割って話しておこうと思って」
ノエル「腹を割る?」
ジェシー「そうだ」
ジェシー「こんな話をするのは、親として失格かもしれないけど……俺は初心者だから許してほしい」
ノエル「……何?」
ジェシー「俺とマリオンは、自分の子供が欲しくて養子を迎えたわけじゃないんだ」
ノエル「……え?」
ジェシー「俺たちは実の親の元で育ったけれど、愛情には恵まれていなかった」
ジェシー「子供の頃は寂しい思いをしたし、俺が本当の意味で『家族』の温かさを知ったのは、つい最近の話だ」
ノエル「……」
ジェシー「この世界には、俺たちのように家族に恵まれずに、寂しい思いをしている子供がたくさんいる」
ジェシー「そんな子供たちに少しでも家族の温かさを教えたくて、養子を迎えることにしたんだ」
ジェシー「例えこれから俺とマリオンの間に子供が生まれたとしても、ノエルやノアを手放す理由にはならない」
ジェシー「ノエルとノアは、一生うちの子だ」
ノエル「……」
ノエル「どうして?」
ジェシー「え?」
ノエル「子供なら誰でも良かったんでしょう?どうして私とノアを選んだの?」
ジェシー「……」
ジェシー「誰でも良かったわけじゃない」
ジェシー「あの日……施設を訪れた時に、ノエルと話して思ったんだ」
ジェシー「こんなに賢くて優しい女の子に、悲しい顔をさせたくないって」
ジェシー「正直、親になることに期待なんて持っていなかった。世間の人たちが言う『親になる喜び』ってものが一体何なのか、想像すらできなかった。でも……」
ジェシー「いつかノエルの笑顔を見ることができたら、その意味がわかる気がしたんだ」
ノエル「……」
ジェシー「俺は、ノエルにとって理想的な父親ではないかもしれない。でも、俺はノエルと家族になりたいと思ってる」
ジェシー「俺が伝えたいことは、それだけだ」
ノエル「……これが、腹を割って話す?」
ジェシー「そう」
ジェシー「人と人が信頼関係を結ぶのに、一番大事なことだ」
ノエル「そうなんだ……」
ジェシー「寝る前に悪かったな。明日は早いから、ゆっくり休めよ」
ジェシー「おやすみ、ノエル」
ノエル「おやすみなさい……」
ジェシー『子供たちに少しでも家族の温かさを教えたくて、養子を迎えることにしたんだ』
ノエル「……」
ノエル「あの人は、自分のために私を養子にしたわけじゃないんだ……」
ジェシー「もう行けるか?」
マリオン「準備OKよ」
ジェシー「よし」
ノエル「ジェシーさん」
ジェシー「ん?」
ノエル「あの……施設に行く前に、聞いておきたいことがあるの」
ジェシー「何だ?」
ノエル「あのね……」
ノエル「えっと、その……」
ノエル「これからは『お父さん』って呼んでも良い?」
ジェシー「……」
ジェシー「あぁ……もちろん」
ジェシー「おいで」
ジェシー「俺の娘ーー」
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ジェシーはお父さんだけど、マリーちゃんはマリーちゃんです。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m