災いは、一つだけとは限らない。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
コンコン
マリオン「あら、またお客さん?」
ジェシー「俺が出る」
マリオン「良いわよ、私がお母さんを独り占めしちゃったから、今度はあんたがお話して」
オリビア「私はマリーちゃんとお話がしたいわ」
ジェシー(こいつ……)
マリオン「はい……」
レオン「マリー、近所の挨拶に……」
バタンッ
レオン「あれ?」
ジェシー「マリオン?」
マリオン「ただの勧誘よ」
レオン「マリー?マリオン、どうしたんだ?」
ジェシー「なぁ、あの声って……」
マリオン「……」
ガチャ
レオン「久しぶりだな、マリー」
マリオン「どうしてあんたが近所の挨拶に来るのよ?」
レオン「どうしてって、お隣さんだから」
マリオン「え?お隣って……この地区で一番の豪邸じゃない」
レオン「以前は人に貸し出していたんだけど、数年前に有名な俳優があそこで亡くなったんだ」
レオン「以来、借り手が決まっても、一月もしないうちに出て行ってしまって……」
レオン「仕方がないから、離婚を機に俺が住むことにしたんだ」
ジェシー「待てよ、それって事故物件って言うんじゃ……」
レオン「あぁ」
レオン「確かによく人の気配を感じるし、時々苦しそうな男の声が聞こえるけど……特に実害はないから平気だ」
マリオン「あんた幽霊と同居して大丈夫なの?」
レオン「幽霊は息子の親権を奪ったり、高額な慰謝料を請求したりはしない」
レオン「元妻に比べれば、幽霊の方が何倍もマシだ」
マリオン「まぁ……地獄の底から這い上がってきた悪魔に比べれば、幽霊なんて可愛いものよね」
ジェシー「悪魔?」
オリビア「あなた不動産会社の社長さんなの?」
オリビア「社長さんには以前お会いしたけれど、もっと年配の方ではなかったかしら?」
レオン「あなたが会ったのは、私の父でしょう」
オリビア「そう……世代交代なさったのね」
オリビア「自宅の外壁を改装したいのだけれど、問題ないかしら?」
レオン「事故物件にさえしなければ、何をしても構いませんよ」
マリオン&ジェシー(笑えない……)
レオン「それにしても、どうして大物女優のあなたがここに?」
オリビア「息子の顔を見にきたの」
レオン「息子?」
ジェシー「俺の母親なんだ」
レオン「え?」
ジェシー「言っておくけど、その大物女優の実年齢は50歳だからな」
オリビア「ジェシー」
オリビア「ごめんなさい。あの子ったら、男の人を見るとママを取られると思って、やきもちを妬くのよ」
ジェシー(こいつ……)
レオン「私も息子が一人いますよ」
オリビア「まぁ、おいくつなの?」
レオン「この秋に高校一年生になりました」
レオン「離婚してからあまり会っていませんが、時々連絡をくれますよ」
オリビア「まぁ、うちのジェシーとは大違いね」
ジェシー「……」
オリビア「私も若い頃に離婚を経験して……」
マリオン「なんだか盛り上がってるわね」
ジェシー「あいつら、本当に何しに来たんだ?」
マリオン「案外、相性がいいのかもしれないわ。このままくっついたりして」
ジェシー「はぁ?冗談だろう?」
マリオン「何?ママを取られるのが嫌なの?」
ジェシー「まさか!母親に捨てられる男を何人も見てきたから、あの不動産屋も、その中の一人になったら可哀想だと思っただけだ」
ジェシー「マリオンこそ、平気なのかよ?」
マリオン「私?」
マリオン「平気よ。私はレオンの幸せを願っているもの」
マリオン「このままひとり寂しく事故物件で暮らすよりも、気の合う恋人でも見つけてもらったほうが嬉しいわ」
ジェシー「……」
ジェシー「元カレのこと、きれいに吹っ切れているんだな」
マリオン「えぇ」
マリオン「今カレが魅力的なおかげで、元カレを思い出す暇もないわ」
ジェシー「……」
ジェシー「だろうな」
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レオンとオリビアは、共通点が多いです。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m