外に出れば、家族も知らない世界がある。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
クロエ「ほら、エマ。行くよ」
クロエ「久しぶりの個人展なんだから、エマが顔出したら絶対に喜ぶって」
クロエ「話せる時間があったら、ちゃんと仲直りしてよ?」
エマ「大丈夫、わかってるって」
クロエ「パパ!」
ケヴィン「クロエ、エマ……どうしてここに?」
クロエ「セシルが、San Myshunoの美術館で個人展開催してるって教えてくれたの」
ケヴィン「そうか……」
クロエ「どうして私たちに教えてくれなかったの?チケット送ってくれれば良いのに」
ケヴィン「高校生活が忙しいだろうし、個人展なんてももう何度も開催しているから、興味ないと思ったんだ」
クロエ「パパの個人展だよ?何度開催されても見に来るよ。それに……」
クロエ(あれ?あの子……)
クロエ「私はゆっくり絵を見て回りたいから、パパはエマとお話していて」
ケヴィン「え?」
クロエ「じゃあね」
ケヴィン「クロエ!」
ケヴィン「……」
エマ「……」
クロエ「レナード!」
レナード「え?」
クロエ「あぁ、やっぱりレナードだ。こんなところで何してるの?」
レナード「何って……個展を見に来たんだ」
クロエ「え?何で?」
レナード「ケヴィン・グリーンのファンだから」
クロエ「ファン?」
レナード「幼い頃に、ここに連れて来てもらったんだ。その時に絵を見て、ファンになった」
クロエ(パパにファンなんていたんだ……)
レナード「君だって、個展を見に来たんじゃないのか?」
クロエ「まぁ、そうだけど……」
レナード「そういえば、君の名前を聞いていなかったな」
クロエ「私?」
クロエ「私は、クロエ」
レナード「クロエ……名字は?」
クロエ「それ必要?」
レナード「俺の名字は、知ってるだろう?」
クロエ「あー……クロエ・グリーン」
レナード「グリーン?」
クロエ「そう。ケヴィン・グリーンの娘」
レナード「……本当?」
クロエ「本当」
レナード「そうか。確か、双子の娘がいるって聞いたな……」
クロエ「うん、妹のエマも来てるよ。あとで時間があったら、パパにも会わせてあげる」
レナード「良いの?」
クロエ「時間があればね。パパだって、数少ないファンに会えたら嬉しいでしょう?」
レナード「数少ない?冗談だろう?」
クロエ「え?」
レナード「ケヴィン・グリーンは、世界的に有名な画家だ」
レナード「昔、俺の父親が絵を買ってくれたけど……今ではどんなに金を積んでも手に入らない。それくらい、人気が高いんだ」
クロエ「そうなの?……それって、本当にうちのパパの話?」
レナード「そうだよ」
レナード「新作が発表されれば、購入希望者が殺到する。どんな絵でも、最低10万シムオリオンはするかな」
クロエ(……私たちの学費は、こうして捻出されていたわけね)
レナード「クロエが羨ましいよ。俺もケヴィン・グリーンの息子に生まれたかった」
クロエ「え?」
クロエ「……レナードにだって、絵を買ってくれるお父さんがいるじゃない」
クロエ「そういえば、クリス・ブルーって人、知らない?」
レナード「クリス・ブルー……?」
クロエ「うん、知り合いなの。あなたの親戚だと思うんだけど……」
レナード「クリス……確か、父親の弟がそんな名前だった気がする」
クロエ「本当?」
クロエ「父親の弟っていったら、叔父さんじゃない」
レナード「あぁ。でも会ったことがないから、確かではない」
クロエ「会ったことないの?叔父さんなのに?」
レナード「……うちの一族は仲が悪いんだ。その叔父さん、俺の存在も知らないかもな」
クロエ「甥っ子の誕生すら知らないってこと?」
レナード「そう。世の中は、仲が良い家族ばかりじゃないってこと」
クロエ「……」
クロエ(甥っ子の存在も知らないなんて……一体どんな家なの?)
クロエ(この間の帰省では、クリスさんに会えなかったけど……今度帰省した時には、レナードのことを教えてあげようかな)
クロエ(それから、パパにも伝えておかないとね。『もっとたくさん絵を描いて』って)
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容赦のない娘。
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