ほんの些細なきっかけが、生活を一変させることもあるーー
ローズ「はい、ローズ・ピンクです」
ローズ「すみません、専属契約はしていないんです」
ローズ「……はい、はい。それでしたら……」
バイオレット「カイル、食べた?」
バイオレット「全然食べていないじゃない……どうしたの?」
ローズ「お姉ちゃん、カイル食べ終わった?」
バイオレット「……ダメ。大好きなアップルソースにも手をつけないわ」
ローズ「もう、カイル。どうして……あ、電話だ」
ローズ「はい、ローズ・ピンクです。スタイリストですか?えぇ……」
バイオレット(最近、カイルの様子がおかしいーー)
バイオレット(食欲はないし、寝つきも悪い。起きていても何もせずに過ごしている)
バイオレット(どう見ても、異常ね……)
ローズ「ごめん、お姉ちゃん。……何してたんだっけ?」
バイオレット「カイルが食べてくれないのよ」
ローズ「あぁ、そうだった。カイルどうしちゃったのかな?」
バイオレット「ローズ、仕事が忙しいのはわかるけど、一度病院に連れて行ったほうがいいんじゃない?」
ローズ「そう、じゃあお姉ちゃんが連れて行って。あ、また電話……」
バイオレット「ローズ!」
ローズ「あんたは、カイルの母親なのよ?少しはカイルの心配をしたら?」
ローズ「お姉ちゃん……」
ローズ「もちろん、カイルの心配はしてるよ。でも、今は仕事が軌道に乗って忙しい時期なの」
ローズ「不安定なファッションインフルエンサーから、ようやくフリーのスタイリストとして、セレブからオファーをもらえるようになったんだよ?」
バイオレット「でも……」
ローズ「私が何のために頑張ってると思うの?これも全部、カイルのためだよ」
バイオレット「……」
ローズ「正直、ファッションインフルエンサーでいた方が楽だよ。セレブの顔色を伺う必要はないし、自分の好きなファッションを楽しめる」
ローズ「でも、お金にはつながらない」
ローズ「カイルにだけは、私たちのように貧しい暮らしはさせたくないの」
バイオレット「お金なら、私がたくさん稼いでいるでしょう?」
ローズ「……」
ローズ「シングルマザーを選んだのは、私だもん。私が稼がないと意味ない」
バイオレット「ローズ……」
ローズ「とにかく、お姉ちゃんのお金には頼りたくないの!」
ローズ「ごめんね、カイル」
ローズ「お仕事が落ち着いたら、カイルの側にいるからね」
バイオレット(お姉ちゃんには頼りたくない……か)
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ローズは仕事に家庭に、大忙しな年頃。
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