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ハンナ「エイベル先生。ご決断を」
エイベル「絶対に嫌だ」
ハンナ「どうしてですか!?」
エイベル「どうしてだと?決まってるだろう」
エイベル「オカルト作家である俺が、歴史小説なんて書けるわけがない」
ハンナ「いやいや、先生のオカルト小説は三流ですが、歴史小説としては評価が高いんですよ」
ハンナ「もうマイナーなオカルト作家なんて肩書きは捨てて、人気の高い歴史作家に転向したら良いじゃないですか」
エイベル「ふざけんな!」
エイベル「俺の目標は、あくまでオカルト小説でベストセラーを出すことなんだよ。歴史小説でベストセラーなんて出しても、嬉しくもなんともない」
ハンナ「どうしてオカルトにこだわるんですか?うちの出版社のためにも、売れる小説を書いてください」
エイベル「オカルトは、俺が興味を持てる数少ない趣味の一つなんだ」
エイベル「オカルト小説にこだわるのは金のためじゃない。興味を持てないことに時間を割くくらいなら、作家なんて辞めてやる」
ハンナ「もう、本当に頑固なんだから……」
エイベル「うるせぇ、お前とこれ以上話すことはない。上にも歴史小説なんて書かないと伝えておけ」
ハンナ「わかりました。これで先生が干されても、私を恨まないでくださいね」
エイベル「上等だ」
エイベル「俺が他の出版社でベストセラー出しても文句言うんじゃねぇぞ」
ハンナ「はいはい、そんな日が来ると良いですね」
ハンナ「失礼します」
エイベル「ったく、三流担当め……」
ハンナ「聞こえてますよ!」
セドリック「エイベル様」
セドリック「昼食の準備が整いました」
エイベル「あぁ」
セドリック「エイベル様は、オカルトがお好きなのですね」
エイベル「好きというか……オカルトに頼らざるを得なくてな。調べているうちにオカルトの魅力に惹かれたんだ」
セドリック「頼らざるを得ない?」
エイベル「俺の両親は、俺の出自について何か隠したまま亡くなったんだ」
セドリック「出自について問題でも?」
エイベル「それがわからないんだよ」
エイベル「教育係の話では、俺には『高貴な血』が流れているらしい」
エイベル「何か特殊な血筋だということは想像できるが、その正体がわからない」
エイベル「俺なりに調べたみたんだが、父親の血筋は辿れても、母親の血筋に関する情報は一切出てこなかった」
エイベル「母親の血筋に、何か大きな秘密が隠されている気がしてならないんだ」
セドリック「……」
エイベル「両親が亡くなった以上、降霊術でも使わないと『高貴な血』の意味を知る術はないと思って……」
セドリック「オカルトに頼ることにしたと?」
エイベル「そうだ」
セドリック「エイベル様は、そうまでしてご自身の出自を知りたいのですか?」
エイベル「あぁ」
エイベル「自分が何者かわからないまま生きるなんて、苦痛でしかない」
セドリック「……」
セドリック「もしもご自身の出自を知る手段があるとしたら、どうしますか?」
エイベル「もちろん、なんとしてでも出自を突き止める」
エイベル「それが、どんなに危険な手段であったとしてもな」
セドリック「……そうですか」
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