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エイベル「約束の時間はとっくに過ぎてるぞ」
エイベル「本当に連絡したんだろうな？」
セドリック「連絡は確かにしました。このままお待ちください」
エイベル「俺が貴重な執筆時間を削ってるってこと、わかってんのか？」
「悪かったね」
「こっちも暇じゃないんだ。あんまり急かさないでよ」
エイベル「お前……どこから入って来た？」
ジュリアン「俺は、ジュリアン・レッド」
エイベル「お前が護衛係のトップか？」
ジュリアン「違う。その上だよ」
エイベル「上……？」
ジュリアン「あんたが俺を呼んだんでしょう？話って何？」
エイベル「……なぜセドリックにスパイのような真似をさせた？」
ジュリアン「目的は二つ。あんたを監視するため。そして、あんたが諜報員だって噂を確かめるため」
エイベル「監視？どうして俺を？」
ジュリアン「ジェームズから聞いたよ。あんた自分の出自について何も知らないんだって？」
エイベル「……お前は知っているのか？」
ジュリアン「まぁね。じゃなきゃ、わざわざ監視させたりしない」
エイベル「教えてくれ。俺は一体何者なんだ？」
ジュリアン「本当に知りたいの？」
エイベル「もったいぶるなよ」
エイベル「俺の母親……シェリル・グラナートの血筋に関係があるんだろう？」
ジュリアン「……良いよ。教えてあげる」
ジュリアン「ゴールド家のためにも、あんたは自分を知っておくべきだと思うから」
エイベル「……」
ジュリアン「あんたの母親の本当の名前は、『アメリア・シェリル・ゴールド』」
エイベル「……ゴールド？」
ジュリアン「そう」
ジュリアン「ゴールド家の前当主、アレクサンダー・ゴールドの実の妹だ」
エイベル「まさか……俺の母親がゴールド家の血筋？散々調べたけど、そんな情報は一度も……」
ジュリアン「だろうね」
ジュリアン「全て隠蔽されていたんだ。一流の諜報員であろうと調べられるわけがない」
エイベル「隠蔽？なぜ……？」
ジュリアン「あんたの母親は、ゴールド家を追放されたからだよ」
エイベル「……」
ジュリアン「アレクサンダーはゴールド家の当主として有能だったけど、強引な方法もたくさん取ってきた」
ジュリアン「その一つが、ゴールド家の親族の一掃だ」
ジュリアン「アレクサンダーには、結婚を希望している女性がいた。でも、その女性の身分は低く、親族からは反対の声が多かった」
ジュリアン「親族の中には、アレクサンダーの意志に反した行動を取ったり、反対に擦り寄って甘い汁を啜りたがるような連中もいたからね」
ジュリアン「結婚反対を理由に、厄介な親族を一掃したんだ。そのうちの一人が、あんたの母親だったってわけ」
エイベル「俺の母親は、厄介払いされたってことか」
セドリック「ジュリアン様」
ジュリアン「何？あぁ……」
ジュリアン「誤解がないように言っておくけど、アレクサンダーとアメリアは元々仲の良い兄妹だったらしいよ」
エイベル「それなら、どうして……」
ジュリアン「ただ追放したわけじゃない。あんたの母親を護るために、追放したんだ」
エイベル「……どういうことだ？」
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