大学に入学して間もなく、俺達は結婚したーー
進学早々、高校時代から付き合っていた彼女・リリアンに妊娠が発覚した。
親には勘当され、生活のために大学は中退。
それでも、小さいながらマイホームを手に入れて、愛する妻と天使のような双子の娘に恵まれた。
生活は苦しかったけれど、笑顔の絶えない家庭だった。
料理が得意でシェフを目指す妻と、画家になる夢を諦められない俺。
夢を追いながら子育てに追われる日々は、この上なく幸せで……。
だが、そんな幸せも、長くは続かなかったーー
ケヴィン「ただいま」
(……片付けもせずに寝てるなんて、珍しいな)
リリアン「ん……ケヴィン、帰ってたの?」
ケヴィン「あぁ」
リリアン「ごめんね。今、夕飯の支度するから……」
ケヴィン「いいよ、疲れてるんだろ?俺に任せて、少し休んで」
リリアン「ありがとう。でも、そんなわけにはいかないわ。
ほら、クロエとエマったら、またこんなに散らかし...て……」
ドサッ
「……リリィ?」
「......リリアン!!」
ある日突然。
別れの言葉を告げる間もなく、妻は帰らぬ人となったーー
ーーあれから三ヶ月。
リリアンを失った悲しみは大きいけれど、俺には泣いている暇などない。
幼い娘達には、まだ“死”というものが理解できない。
理解できぬまま、ただただ母親に会えない寂しさに耐えている。
クロエとエマのために、どうにか生活を立て直さなければならない。
そのためなら、どんな努力も惜しまないつもりだ。
しかし......。
現実は甘くない。
生活のためには仕事が必要だが、 やんちゃ盛りの双子からは目が離せない。
この三ヶ月は、なけなしの貯金を切り崩してきたけれど……。
正直、もう限界だーー
「よう、貧乏画家」
「......!!」
セシル「相変わらずしけたツラしてんな」
ケヴィン「お前.......どうしてここに...?」
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罵倒から始まる再会劇。
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