希望と不安は、紙一重。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ジェシー「どうして当たり前のように二人で来るんだ?」
オリビア「たまたま近くで会ったのよ」
ジェシー「たまたま?どうせ家で一緒に過ごしてたんだろう」
オリビア「それよりジェシー、マリーちゃんはいないの?」
ジェシー「仕事でSan Myshunoに行ってる」
オリビア「残念……一緒にお酒を飲みたかったのに」
ジェシー「酒を飲むなら店で金落としてくれよ」
オリビア「あら、あなたが『オリビア・ベネットの息子だってバレたら厄介だから、店にはあまり顔出すな』って言ったんじゃない」
ジェシー「そうだけど……」
オリビア「私はもう、ただの『オリビア・カーキ』なのよ。一般人として扱って頂戴」
ジェシー「母さんは切り替えられても、世間は簡単に切り替えてはくれないんだよ」
ローズ「お店に顔を出して欲しくないなら、家でお仕事をしたら?」
ジェシー「え?」
ローズ「クライアントの家に行って、料理やお酒を提供するの。スタイリストの仕事と一緒だよ」
ジェシー「ケータリングってことか?」
ローズ「そうとも言う」
オリビア「良いわね。お客さんが来たときに助かるわ」
ローズ「ここはセレブの街だから、すごく需要あると思う」
ジェシー(マリオンやセシルに話したら、また新しいビジネスを始めるって言い出しそうだな……)
ローズ「……あ、電話だ」
ローズ「もしもし、クリスさん?」
クリス「うん、元気。カイルも変わりないよ」
ローズ「え?……それ本当?」
ローズ「お姉ちゃんに連絡できるの?」
ケヴィン「マリア、手伝うよ」
マリア「ケヴィン様、いけません。私一人で大丈夫ですから、お仕事に集中なさってください」
ケヴィン「ちょうど仕事がひと段落したんだ。俺がお茶淹れるから、マリアは座ってて」
ケヴィン「お腹が大きくなって、歩くのもしんどいだろう?」
マリア「まぁ……ケヴィン様、なんてお優しいんでしょう」
マリア「同じ男性でもここまで違うとは」
リック「……気が利かなくて、すみません」
マリア「いつもサポートありがとうございます」
ケヴィン「俺はクロエとエマの時に、妊婦さんとの生活は経験済みだから。リリアンからはだいぶ怒られたけどな」
ケヴィン「出産予定は2月だっけ?」
マリア「はい。来週には産休に入らせていただきます」
ケヴィン「楽しみだな。女の子の赤ちゃんを見たら、きっとクロエとエマを思い出すよ」
マリア「……」
リック「……」
ケヴィン「どうした?」
リック「……女の子なんですか?」
ケヴィン「え?違うのか?」
ケヴィン「だって、このお腹の形は女の子だろう?」
リック「お腹の形でわかるんですか?」
マリア「ケヴィン様……リックには内緒にしていたのに……」
ケヴィン「え!?」
リック「そうか、女の子なのか……」
マリア「……」
ケヴィン「リック、マリア、本当にごめん!」
リック「気になさらないでください。いずれはわかることだし、それに……」
リック「不意打ちだった分、何倍も嬉しいです」
マリア「リック……」
マリア「あなたは男の子を望んでいるのかと思った」
リック「どうして?」
マリア「護衛責任者の座を継がせたいでしょう?」
リック「いや、むしろこんな危ない仕事を我が子に継がせたいとは思っていない」
リック「親父を目の前で亡くしているんだぞ?そんな仕事を継がせるなんて、どうかしてる」
ケヴィン「女の子でも継ぎたいって言うかもしれないぞ」
リック「ダメです。男の子だろうと女の子だろうと、この仕事は継がせません」
ケヴィン「それじゃあ、この子はメイド長になりたいって希望してくれると良いな」
ケヴィン「女の子は良いぞ。小さい頃は『パパ、パパ』って後をついて回って、『大きくなったらパパと結婚する』なんて言ってくれるんだ」
マリア「まぁ、可愛らしい」
ケヴィン「でも、ティーンにもなると豹変する」
リック「え?」
ケヴィン「『パパはいらないけどお小遣いは欲しい』とか『パパと買い物するのは恥ずかしいからカードだけ貸して』なんて言い出す。そして寮付きの進学校に通い出して、高い学費の支払いに追われることになる」
ケヴィン「極め付けにある日突然彼氏ができたと告げられて、結婚をめぐって大喧嘩するんだ。最終的には父親なんて捨てられて、あっさり彼氏に横取りされる」
リック「……」
マリア「……」
ケヴィン「頑張れよ。リック」
リック「ありがとうございます。ケヴィン様」
リック「先ほど倍増した嬉しさが、今の話で半減しました」
ケヴィン「……あれ?」
----------------------------------------
先輩からの激励が重い。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m