自分を犠牲にしてでも、護りたいものがある。
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↓Season 2のまとめは、こちら。
ライアン「これが、Sulaniの秘密です」
セシル「……どういう仕組みだ?」
ライアン「タネも仕掛けもありません。本物の『人魚』です」
クリス「ライアン、お前……」
セシル「ふざけるな。人魚なんてオカルトじみたもの、俺が信じるとでも思ったのか?」
クリス「あの……お言葉ですが、会長の弟さんは『ヴァンパイア』ですよね?」
クリス「ヴァンパイアが存在するんです。人魚が存在してもおかしくないでしょう?」
ワイアット&リック(確かに……!!)
セシル「クリス……お前、本気か?」
クリス「……ライアンの言う通りです」
クリス「ルナは、Sulaniの島民と人魚の間に生まれた子です。ルナだけじゃない。Sulaniには、本物の人魚がたくさん存在しています」
ルナ「もう上がっても良い?」
ライアン「あぁ。ありがとう、ルナ」
ルナ「どういたしまして。久々に広い場所で泳げて気持ち良かった」
クリス「それは良かった。でも、もう上がっておいで」
セシル「………………」
セシル「それで?」
セシル「人魚が実在しているからといって、それがゴールド財閥の利益にどう繋がるんだ?」
セシル「見せ物にでもしようというのか?」
ライアン「まさか」
ライアン「人魚は、海の世界をよく知っています。人間がまだ発見していない、天然資源についても」
セシル「天然資源だと?」
ライアン「Sulaniの海には、多くの天然資源が眠っています。しかし、研究が進んでいないせいで、その存在は世間に知られていない」
ライアン「自然保護区として支援すれば、ゴールド財閥はSulaniに影響力を持てます。政府も莫大な支援をしてくれるゴールド財閥の要望なら、容認せざるを得ない」
ライアン「そこで、研究施設を作るんです」
セシル「研究施設?」
ライアン「Sulaniの島民が食べていくためには、雇用が必要だ。でも、Sulaniの価値がわからない観光客を多く招けば、自然は破壊されてしまう」
ライアン「その点、研究者であればSulaniの自然を尊重してくれる」
ライアン「島に人が集まれば雇用が生まれ、島民は潤う。財閥としても、研究で有益な結果が出れば商業利用することができる」
ライアン「幸い、近年Sulani研究は大きな注目を集めています。Sulaniに渡って研究したいという学者はたくさんいる」
ライアン「ゴールド財閥が研究を支援するとわかれば、世界的な権威も名乗りを挙げるでしょう」
セシル「絵空事だな」
セシル「自然保護活動に加えて、学者の研究まで支援しろと?」
セシル「確かに有益な研究結果が出れば莫大な利益を生み出すが、あくまで可能性の話に過ぎない」
セシル「これで有益な結果が出なければ、ゴールド財閥はどうなる?大損だ」
セシル「うちの役員連中も納得しないだろう」
ライアン「……」
ライアン「そう言われると思っていました」
ライアン「どうぞ」
セシル「……何だ?」
ライアン「Sulaniに眠る天然資源の一部を題材にした論文です」
ライアン「天然資源の採掘方法から新時代のエネルギーとして活用する方法まで、全てのエビデンスが詰まっています」
セシル「誰の論文だ?」
ライアン「リタ・オレンジ。俺の妻です」
ライアン「リタは海洋生物学者であり、Sulani研究の第一人者です」
セシル「クロエとエマがそんな話をしていたな。確か、Britechester大学の客員教授だと」
ライアン「この論文は、まだ学会に発表されていないものです」
ライアン「学会にもどの機関誌にも発表していない。リタが、人生をかけて生み出した研究の結果です」
ライアン「今後、Sulaniに研究施設を作って何の成果も得られなかったとしても、この論文があればゴールド財閥に最低限の利益は保証される」
セシル「お前の妻は、納得しているのか?」
ライアン「Sulaniのためになるのならと、俺に託してくれました」
ライアン「自分の研究でSulaniが救われるなら、見返りはいらないと」
セシル「……」
ライアン「論文は、ゴールド財閥に寄贈します。この研究結果をどう活かそうとも、あなた方の自由だ」
ライアン「どうか受け取ってください」
セシル「……」
セシル「お前たちの覚悟はわかった。役員会には、俺が直接話をしよう」
セシル「クリス、この研究はお前が預かれ。その方がリタも安心だろう」
クリス「会長……承知しました」
ライアン「ありがとうございます」
セシル「良い返事ができるかは、わからないぞ」
ライアン「できますよ。動くと決めたら、徹底的にやり遂げる。あなたはそういう男だ」
セシル「……」
セシル「ライアン。お前は確か、Oasis Springsの建設会社の息子だったな」
ライアン「はい。会社は弟が継ぎましたが……俺の実家です」
セシル「うちの傘下に入らないか?実家ごと歓迎しよう」
ライアン「え?」
セシル「自然保護活動を行う上で、コンサルタントが必要だ」
セシル「お前となら、長く良い関係を築けそうだ」
ライアン「……」
ライアン「考えておきます」
セシル「良い返事を期待している」
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Season 1の頃のライアンなら、話すら聞いてもらえませんでした。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m