大きなことを成し遂げるには、小さなことの積み重ねが大事。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
リタ「クリス!」
クリス「リタ!久しぶり」
リタ「本当、1年ぶりかしら?」
クリス「それ以上だよ」
クリス「ライアンは?」
リタ「自然保護に関する講演会に出席しているわ。ここで待ち合わせしてるんだけど……まだ来ていないようね」
クリス「そうだな……」
クリス(連絡は取り合っていたけど、顔を合わせるのは久しぶりだな)
クリス(変わりすぎて気付かないなんてこと、無いよな?)
ライアン「先輩!」
ライアン「遅くなってすみません」
クリス(すごく見覚えのある奴が来た……!!)
クリス「ライアンお前、都会のど真ん中でなんて格好してるんだ」
ライアン「え?」
ライアン「Sulaniの宣伝のために、それらしい格好をしてるんですよ」
クリス「まだ春先だぞ。寒くないのか?」
ライアン「めちゃくちゃ寒いです」
クリス「だろうな」
クリス「恥ずかしいから、さっさと中に入るぞ」
ライアン「恥ずかしい?」
ライアン「あんなにお世話になったSulaniを恥ずかしいなんて……すっかり都会の男ですね、先輩」
クリス「Sulaniじゃなくて、お前が恥ずかしいんだよ」
クリス「ほら、行くぞ」
リタ「わざわざ時間を作ってもらって悪いわね」
クリス「俺こそ、なかなか時間を作れなくてごめん」
ライアン「部外者が会社に立ち入って良いんですか?」
クリス「ここは、来客者用に開放されているカフェだから問題ない」
クリス「それより、俺に話って何だ?」
ライアン「先輩、クロエとエマから聞きましたよ。今、ゴールド財閥の会長秘書をしているらしいですね?」
クリス「あぁ……」
クリス「お嬢様方に聞かなくても、お前にはずいぶん前に話しただろう?」
ライアン「え?そうでしたっけ?」
リタ「……あなたって、つくづく友達想いね」
ライアン「Sulaniの自然保護活動のために、大口のバックが必要なんです。どうにかゴールド財閥に寄付をお願いできないですか?」
ライアン「もちろん俺から説明します。そのために、会長に会わせて欲しいんですよ」
クリス「会長に……?」
リタ「私たちがSulaniを離れる前に、自然破壊が問題視され始めていたしょう?今は観光客が増えて、更に自然破壊が進んでいるらしいわ」
クリス「なるほど……でも、会長を味方につけるのは難しいな」
ライアン「どうしてですか?」
クリス「お前なら、ゴールド財閥が自然保護活動に消極的だってことは知っているだろう?」
ライアン「えぇ。だから先輩にお願いしているんです」
クリス「もちろん、俺も協力したいけど……力になれるとは思えないな」
リタ「話すら聞いてもらえないの?」
クリス「リタ……」
クリス「ゴールド財閥は、長年都市開発に注力してきた。多くの雇用が生まれて人々の生活は潤ったけど、その反面、自然破壊につながった」
クリス「今ではゴールド財閥が事業を行なう度に、多くの団体から抗議活動や妨害行為を受けている」
クリス「現状では会長や社長はもちろん、ゴールド財閥に属する人間は誰一人として、自然保護活動に協力しようとは思わないだろうな」
リタ「そんな……」
ライアン「まぁ、どっちもどっちですね」
ライアン「先輩、会長ってどんな人ですか?」
クリス「え?」
クリス「そうだな……サボり癖が酷くて、屁理屈こねては仕事から逃げ回ってる」
ライアン「最低ですね」
クリス「お前も人のこと言えないけどな」
クリス「……会長は、決断力に優れている。良いと思えば敵とも手を組むが、ダメだと思えば味方でも切り捨てる。情はあるが、情に流されるようなことはない」
クリス「先見の明を持っていて、良くも悪くも、恐ろしいほどに賢い人だ」
ライアン「……なるほど。ということは、ゴールド財閥にとってメリットとなるものがあれば、聞く耳を持ってくれるということですね」
クリス「簡単ではないけどな」
ライアン「それがわかっただけでも十分です」
クリス「……何か考えがあるのか?」
ライアン「俺はその『メリット』を探ってみます。準備ができたら連絡するので、話し合いのチャンスを作ってください」
ライアン「Sulaniのために」
クリス「……」
クリス「わかった。協力するよ」
ライアン「ありがとうございます」
ライアン「それじゃあ、俺は講演会に戻ります」
クリス「抜けて来たのか?」
ライアン「えぇ、あと5分で出番です」
クリス「……完全に遅刻だな」
ライアン「それじゃあ、ありがとうございました。また連絡します」
クリス「あぁ」
クリス「講演、頑張れよ」
ライアン「はい」
クリス「……」
クリス「リタは仕事、終わったの?」
リタ「えぇ……」
リタ「クリス、実はあなたに相談があって来たのよ」
クリス「相談?」
リタ「ライアンをどうやってしつけ直したのか、教えてほしいの」
クリス「しつけって……ライアンに問題でも?」
リタ「ライアンじゃないわ、ディランの方よ!」
クリス「え?ライアンの弟……?」
リタ「あなた知ってる?ディランって、昔のライアンにそっくりなの」
クリス「それは大問題だな」
リタ「おまけに、最近はうちに入り浸ってエマと交際まで始めたのよ」
クリス「待って、エマってまさか……会長のお嬢様のこと?」
リタ「そう」
クリス「嘘だろう?まずい……こんなことバレたら殺される……」
リタ「ディランをしつけ直すために、あなたに協力して欲しいの」
クリス「……ライアンの時は、時間をかけて本当にやりたい仕事を見つけたんだ。結婚して子供が生まれたことも、大きく影響したんだろうな」
クリス「ディランを変えるんじゃなくて、待ってあげたらどうかな?」
リタ「それでは間に合わないのよ!」
リタ「もう時間がないの。今すぐに、どうにかしないと……」
クリス「リタ……?」
セシル「おい、ビクトリア。会議に遅れ……」
ビクトリア「……」
セシル「……」
セシル(俺の周りは、手のかかる奴ばかりだな……)
----------------------------------------
クリスから見れば、セシルも手のかかる奴の一人です。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m