時には、自分の気持ちを押し殺さなければならないこともある。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ジェシー「悪いな、わざわざ来てもらって」
セシル「構わない。暇で仕方がなかったから、ちょうど良かった」
ジェシー「何で大財閥の会長様が、暇を持て余してるんだよ」
セシル「秘書がいないお陰で、サボりたい放題だ」
ジェシー「お前……」
セシル「それで、返事は?」
マリオン「あなたの話、受けることにしたわ」
マリオン「私のボスになってくれる?間違いたくないのよ。今度こそ」
セシル「……良いだろう。後悔はさせない」
セシル「ジェシー、お前は良いのか?」
ジェシー「マリオンがやってみたいって言うなら、従わざるを得ない」
マリオン「仕方ないでしょう?」
マリオン「ボスからあんなに激しく求められたら、断れないもの」
セシル「………………」
マリオン「だから、そんなに嫌そうな顔しないでよ」
セシル「条件は?」
マリオン「コンサルタント料は、そちらで決めてくれて構わないわ。ただし、1店舗分の出資をお願いしたいの」
セシル「店を出すのか?」
マリオン「えぇ。ジェシーが音楽家の集まる店をやりたいっていうから、挑戦してみることにしたのよ」
セシル「そうか。出資するのは構わないが……ジェシーお前、金ならたっぷり持っているだろう?」
ジェシー「持ってはいるけど、貰えるもんなら貰っておきたい」
セシル「タダで貰えるわけじゃねぇよ。出資だって言ってんだろう」
セシル「……まぁ、良い。店を出すなら、Del Sol Valleyにしてくれ」
マリオン「え?」
セシル「新規事業を展開する上で、まずはDel Sol Valleyから着手することにしたんだ」
セシル「あそこは金持ちが多い割に、店が少ない。お前の実力を示すためにも、まずはDel Sol Valleyに出店して欲しい」
マリオン「……私の実力を疑っているの?」
セシル「まさか。ロールモデルが欲しいだけだ」
マリオン「Del Sol Valleyねぇ……」
セシル「お前は、元々Del Sol Valleyのラウンジにいたんだろう?ジェシーもDel Sol Valley出身だから、やりやすいだろうと思っての配慮だったんだが……」
マリオン「いえ、良いの。問題ないわ」
セシル「担当者を派遣するから、店舗が決まったら知らせてくれ。そこで出資額を決める」
マリオン「店舗選びも、私たちが担当するの?」
セシル「自分の店なんだから、自分で選びたいだろう?」
マリオン「……そうね」
ジェシー「マリオン?」
マリオン「わかったわ、決まったら連絡する」
ジェシー「大丈夫か?」
マリオン「平気。ちょっと考えていただけよ」
ジェシー「そうか……」
セシル「……」
セシル「お前が店を持ちたいと思っていたとはな」
ジェシー「作詞家や作曲家が交流できる場所を作りたいんだ」
セシル「……なるほど。良いところに目をつけたな」
セシル「新しい仕事に、新しい恋。新しい人生を楽しめているようで何よりだ」
ジェシー「新しい恋……?」
セシル「お前、マリオンのことが好きだろう?」
ジェシー「……は?」
ジェシー「何言って……」
セシル「自覚がないのか?鈍感だな」
ジェシー「俺の気持ちに何年も気づかなかった奴に言われてもな……」
セシル「自分のことは見えなくても、他人のことはよく見えるんだよ」
セシル「まぁ、良い。自覚しようがしまいが、俺は利益を出してくれれば満足だ」
セシル「また来る」
ジェシー「……あぁ、またな」
ジェシー「……俺がマリオンのことを?」
ジェシー「まさか……」
マリオン「出資してもらえそうで良かったわ」
ジェシー「そうだな」
ジェシー「なぁ、Del Sol Valleyじゃ不満なのか?」
マリオン「不満なんてない。ただ……」
マリオン「あの街に戻ることになると思わなかったから、驚いただけよ」
ジェシー「あの店はどうする?」
マリオン「しばらくはスタッフに任せるわ」
マリオン「あそこは私がいなくても回るから、新しい店に集中できる」
ジェシー「これから忙しくなるな」
マリオン「そうね。今のうちにしっかり休んでおかないと」
マリオン「……そういえばあんた、居候のくせにいつまでベッド占拠するつもり?」
ジェシー「ソファで我慢していないで、ベッドで一緒に寝ればいいじゃん」
マリオン「恋人でもないのに嫌よ」
ジェシー「何?俺のこと意識してるの?」
マリオン「……そんなわけないでしょう?」
ジェシー「……」
ジェシー「なぁ」
マリオン「え?何……」
マリオン「……」
マリオン「……ジェシー?」
ジェシー「うん、何も感じない」
マリオン「……え?」
ジェシー「やっぱり俺たちは、恋人なんて無理だな」
ジェシー「だって、家族みたいなもんだろう?一緒に寝たところで問題ないって」
マリオン「……」
マリオン「あぁ、そう。……わかったわよ」
パタン
ジェシー「……」
セシル『お前、マリオンのことが好きだろう?』
ジェシー(セシル、あいつ……)
ジェシー(自分のことには鈍感なくせに、他人のことには敏感なんだな……)
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仲良しコンビにも、一悶着ありそうです。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m