好きだからこそ、距離を置くこともある。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ローズ「これが2歳で、こっちが3歳の誕生日」
ジュリアン「あのさ……」
ジュリアン「どうして俺に、カイルが小さい頃の写真なんて見せるの?」
ローズ「父親なら、見逃してしまったカイルの成長過程を知りたいと思うでしょう?」
ジュリアン「父親って、そういうものなの?」
ローズ「……」
ローズ「カイルのこと、可愛いと思わない?」
ジュリアン「まぁ……最近『お父さん』って呼ばれて、少し可愛いとは思った」
ローズ「お父さん!?あんなに『パパ』って呼ぶよう教えたのに……」
ジュリアン「カイルはもう小学生だよ?お父さんが妥当でしょう」
ローズ「私は絶対『ママ』って呼ばせ続けるから」
ジュリアン「あぁ、そう。一応、本人に希望を聞いたら?」
ローズ「……」
ローズ「私のことは、どう思ってるの?」
ジュリアン「どうって?」
ローズ「……今まで、女の子とたくさん遊んできたんでしょう?」
ジュリアン「遊んだっていうより、血をもらってただけ」
ローズ「それだけ?」
ジュリアン「そう」
ローズ「それじゃあ……どうして私とは、それ以上に進んだの?」
ジュリアン「……さぁね」
ジュリアン「よほど気に入ったんじゃない?」
ローズ「……何?その他人事みたいな言い方」
ジュリアン「過去なんてどうでも良いよ。それより、今はカイルの話でしょう?」
ジュリアン「そういえば、どうして『カイル』って名前にしたの?」
ローズ「あぁ、それはね……」
ローズ「私の好きな下着モデルが、カイルっていう名前だから」
ジュリアン「……」
ジュリアン「前々から思ってたんだけど、バカでしょう?」
ローズ「バカって何!?私は6つも年上なんだから、口の利き方に気をつけなさい」
ジュリアン「はいはい」
ローズ「返事は一回で良いの!」
セシル「……」
セシル「あいつら見てると、どっちが年上だかわからないな」
ワイアット「……ジュリアン様は、大人びていらっしゃいますから」
セシル「いや、ローズが子供なんだろう」
セシル(まだまだ良好な仲とは言えないが……一年前に比べればマシか)
セシル(ジュリアンとローズ、クリスとビクトリア、ケヴィンと俺の仲は、ひとまず進展した。となると次は……)
セシル「そういえば、お前に聞きたいことがあったんだ」
ワイアット「何でしょう?」
セシル「リックとマリアは、どうなっているんだ?」
ワイアット「どうなっている……とは?」
セシル「俺はこの家に戻って来た時、リックとマリアはとっくに結婚してると思っていた」
セシル「それなのに、あいつら結婚どころか交際もしていないらしいな」
ワイアット「……はい。仲は良いのですが、交際には発展していません」
セシル「知り合って何年だ?」
ワイアット「20年以上は経ちます」
セシル「長く一緒に居過ぎて、交際のタイミングを逃したのか?」
ワイアット「……それもあるかと思いますが、一番の理由は『結婚できない』という点にあるかと」
セシル「結婚できない?」
ワイアット「以前、リックから聞いたのですが……結婚はしないと決めているようです」
セシル「どうしてだ?」
ワイアット「リックは、同じ仕事で父親を亡くしています。今の仕事を続けている以上、父親と同じ運命を辿ることになるかも知れません」
ワイアット「妻や子を持てば、悲しませることになるでしょう」
セシル「……」
セシル「なるほどな」
ワイアット「おそらく、マリアもリックの考えに気付いています」
セシル「それで、お互いに当たり障りなく接しているってことか」
ワイアット「あくまで推測ですが……」
ワイアット「これ以上は、本人たちにお聞きください」
セシル「わかった」
セシル「そうだ、ワイアット。別件で頼みがある」
ワイアット「頼み……ですか?」
セシル「あぁ。ケヴィンのことだ」
ワイアット「はい」
セシル「あいつにゴールド家のことを教えてやってくれ」
ワイアット「旦那様……」
ワイアット「ご結婚なさるおつもりですか?」
セシル「全てを承知した上で、そう決めた」
ワイアット「……」
ワイアット(全てを承知した上で……)
ワイアット(もう何を申し上げても、聞かないという目ですね)
ワイアット「かしこまりました」
ワイアット「ケヴィン様のことは、私にお任せください」
セシル「頼んだぞ」
セシル「リックとマリアの件は、俺がどうにかしよう」
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早く自分の周りを落ち着かせたくて仕方のないセシル。
↓リックの過去に関するお話は、こちら。
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