時間をかけなければ、わからないこともある。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ケヴィン「あの……ワイアットさん」
ケヴィン「ご指導よろしくお願いします」
ワイアット「ケヴィン様……」
ワイアット「ゴールド家の人間たるもの、威厳がなければなりません」
ワイアット「背筋を伸ばして顎を引きなさい。大きく息を吸って、胸を張るんです」
ケヴィン「……はい」
ワイアット「まずは、ゴールド家の歴史から学びましょう」
ケヴィン「……」
ケヴィン「あのさ……」
ワイアット「何ですか?」
ケヴィン「やっぱり怒ってる?」
ワイアット「怒る?なぜです?」
ケヴィン「だって、ワイアットは俺がセシルに相応しくないと思っているだろう?」
ワイアット「……」
ワイアット「一年前までは、確かにそう思っておりました」
ケヴィン「一年前までは?」
ワイアット「あなたのことは、昔から知っているつもりでしたが、実際に長い時間を一緒に過ごしたのは初めてです」
ワイアット「ようやく私にも確信できました」
ワイアット「アレクシス様には、あなたが必要だと」
ケヴィン「ワイアット……」
ケヴィン「それって……認めてくれたってことか?」
ワイアット「正式に認めるか否かは、花婿修行の成果によります」
ワイアット「ご安心ください、ケヴィン様」
ワイアット「私がゴールド家に相応しい紳士になれるよう、厳しく教育して差し上げますから」
ケヴィン「厳しく……?」
ワイアット「ご不満ですか?」
ケヴィン「とんでもないです」
ケヴィン「……よろしくお願いします」
セシル「エスプレッソ、一つ」
店員「すみません。ご注文はカウンターで……」
セシル「よう、イーサン・ウィンストン」
イーサン「え?か……」
セシル「俺が会長だってバラしたら殺すぞ」
イーサン(役職だけじゃなく命まで奪う気か!?)
店長「あれ?セシル?」
セシル「よう、久しぶりだな」
店長「あんた戻って来てたの?」
セシル「あぁ。今はここの社員だ」
店長「そうだったの!久しぶりに会えて嬉しいわ」
セシル「こいつ、借りて良いか?俺の友達なんだ」
イーサン(いつから……!?)
店長「良いよ。奥のテーブル使って」
セシル「悪いな」
イーサン「あの……店長とお知り合いなんですか?」
セシル「あぁ。高校生の頃、ここでバイトしていた」
イーサン「え……?会長がこのカフェで働いていたんですか?」
セシル「ここだけじゃない。配達や清掃のバイトもしていたし、この会社に存在する仕事は一通り経験している」
セシル「アレクサンダー・ゴールドは、自分の息子だというだけで跡を継がせるような甘い男じゃない」
セシル「金持ちのバカ息子も楽じゃねぇんだよ」
イーサン(まだ根に持ってるな……)
イーサン「あの……会長、その節は大変失礼いたしました」
セシル「……」
セシル「どうして辞めなかった?」
イーサン「え?」
セシル「お前、性格は最悪だが仕事はできるらしいな。引き抜きの話もあっただろう?」
イーサン「……」
イーサン「俺は、一番が好きなんです。他の会社に興味なんてありません」
セシル「そうかよ。俺は正直、とっくに辞めていると思ってた」
イーサン「大学生の頃から、絶対にこの会社に入ると決めていたんです。そのために、死に物狂いで勉強してきました。降格されても、意地でもこの会社を離れるつもりはありません」
セシル「……大した根性だな」
セシル「良いだろう。お前の頑張りに免じて、正社員に戻してやる」
イーサン「え?営業課に戻していただけるんですか?」
セシル「いや。お前は今後、ビクトリアの下につける」
イーサン「ビクトリアって……社長ですか?」
セシル「お前、営業は向かねぇよ。性格の悪さが顔に滲み出ているからな」
イーサン「……」
セシル「お前には今後、経営者としての指導をする。ビクトリアに認められれば、将来的には小さな会社一つくらい任せても良いだろう」
イーサン「……本当ですか?」
セシル「あぁ。だが、ビクトリアは甘くないぞ。あのクリスを育てた人物だからな」
セシル「頑張れるか?」
イーサン「やります!絶対に後悔はさせません」
セシル「その言葉、忘れるなよ」
店長「ねぇ、セシル。コーヒーのお代わり……」
イーサン「はい、ありがとうございます!会長!!」
店長「え?……会長?」
イーサン「あ……」
セシル「……」
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会長がうまく誤魔化したおかげで、命は取られずに済みました。
↓イーサンがやらかしたお話は、こちら。
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