姿は消えても、想いは在り続ける。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
カイル「お父さん、これで合ってる?」
ジュリアン「合ってる。さすが俺の息子」
ローズ「私の息子でもあるし……」
ジュリアン「ローズはファッション担当でしょう?」
ローズ「そっか。じゃあ、勉強は譲ってあげる。ジュリアンにファッションの才能はないもんね」
ジュリアン「………………ありがとう」
セシル「お前たち、ちょっと良いか?」
ローズ「アレクシスさん……何?」
クリス「カイル、おじさんと下に行こうか。宿題の続きを見てあげるよ」
カイル「うん」
ジュリアン「……」
セシル「お前たちがこの家に来て、2年近く経つ」
セシル「カイルの両親として、上手く関係を築けたようだな」
ジュリアン「そうなの?」
ローズ「まぁ、最初の頃よりマシかもね」
セシル「というわけで、お前たちにはこの家を出て行ってもらうことにした」
ローズ「え?」
ジュリアン「俺たちだけで生活しろっていうの?」
ローズ「ちょっと待って、そんな突然……」
セシル「ジュリアンもローズも仕事が順調で、稼ぎも十分だ。子育ても問題なくこなせている」
セシル「この家を出ても、自分たちの力で生活できるだろう」
ローズ「でも……」
セシル「安心しろ。ちゃんと住む家は用意している」
ローズ「え?家を提供してもらえるの?」
セシル「あぁ」
セシル「Del Sol Valleyにゴールド家所有の邸宅がある。今から見に行ってみるか?」
ローズ「今から?」
セシル「今日は下見をして、気に入れば来週にでも引っ越すと良い」
セシル「どうだ?ジュリアン」
ジュリアン「……」
ジュリアン「わかった」
セシル「ここが、お前たちの新居だ」
ローズ「ここって……」
ローズ「セレブの邸宅?」
セシル「セレブかどうかは知らないが、俺の親父が生前に手に入れた邸宅だ」
セシル「なんでも、Del Sol Valley唯一の不動産屋が傾きかけた時に、経営支援のために購入したらしい」
ローズ「すごい豪邸……本当に私たちが使っても良いの?」
セシル「良いも悪いも、この邸宅はジュリアンの物だ。好きにしろ」
ジュリアン「え?俺、こんな家知らないけど……」
セシル「親父の遺言にあったんだ。Del Sol Valleyの邸宅は、ジュリアンに譲るようにと」
ジュリアン「……父さんが?」
セシル「ここは、ゴールド家が所有している邸宅の中で、最も美しい夜景が眺められるんだ」
セシル「夜型のお前にお似合いだろう?」
ジュリアン「……」
ジュリアン「まさか、父さんの遺産を俺に相続させる気?実の息子でもないのに……」
セシル「血は繋がっていなくとも、親父なりにお前に対して特別な想いがあったんだろう」
セシル「死んだ人間の考えなんて知らねぇよ。とりあえずもらえる物はもらっておけ」
ジュリアン「……兄さんはそれで良いの?」
セシル「あぁ」
セシル「親父に化けて出られても面倒だから、遺言に従っておく」
ジュリアン「……それが良いね」
ローズ「カイル、このお家は気に入った?」
カイル「うん。お母さんは?」
ローズ「お母さんじゃなくて、『ママ』でしょう」
ジュリアン「ローズ、子供の意思は尊重するって約束だよね?」
ローズ「これだけは譲れないの!」
セシル「なんだ、カイル。お前まだママなんて呼んでるのか?学校でからかわれるぞ」
ジュリアン「ほら」
ローズ「……」
セシル「この邸宅は、2階に複数の寝室がある。ここなら、カイル専用の子供部屋も用意してやれるな」
カイル「本当?」
カイル「アレクシスおじさん、ありがとう」
ローズ「今までは、ケヴィンさんやマリアさんがいてくれたから生活できていたけど……私たちだけで本当に大丈夫かな?」
セシル「そう言うと思って、助っ人を用意しておいた」
ローズ「助っ人?」
セシル「あぁ。ジュリアンの人格矯正のために呼んだんだが……カイルの面倒も見てくれるだろう」
セシル「来週にはここに引っ越してくる予定だから、楽しみにしておけ」
ローズ「……ゴールド家の執事さんかな?メイドさん?」
ジュリアン「さぁね」
ジュリアン「っていうか、俺の人格矯正って何?」
セシル「さぁ、カイル。帰ってケヴィンおじさんに引っ越しの件を伝えよう」
セシル「あいつ、きっと寂しがって泣くぞ」
カイル「ケヴィンおじさんって、本当に面白いよね」
ジュリアン「……」
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ヴァンパイアは、みんな夜型です。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m