一年前の冬。私の大切な主は、姿を消したーー
「アレクシス様、今なんと?
この家と縁を切るというのは、どういう意味ですか?」
「アレクシス様、あなたはこのゴールド家の次期当主。勝手は許されませんよ」
「アレクシス様!どうかお考え直しください。アレクシス様……!!」
バタンッ
「アレクシス様……」
アレクサンダー「アレクシスは出て行ったか」
ワイアット「……はい」
アレクサンダー「座りなさい」
ワイアット「旦那様、私は……」
アレクサンダー「いいから、座りなさい」
アレクサンダー「あいつのことは、好きにさせておけ」
ワイアット「しかし、旦那様……」
アレクサンダー「いずれこの家を継げば、外出もままならない日々が待っている。
自由を堪能できるのも、今のうちだ」
ワイアット「……」
アレクサンダー「しばらく家の中が混乱するだろう。後は任せたぞ、ワイアット」
ワイアット「……かしこまりました」
アレクシス様が突如姿を消したことから、使用人達は“謎の失踪”だと噂した。
しかし、私は知っている。
アレクシス様は、強い意志と確かな計画性をもって、この家を後にしたのだと。
屋敷の中を見渡せば、どこもアレクシス様との思い出で溢れている。
私はアレクシス様を失ってから、抜け殻のように過ごした。
仕事をこなしながらも、心のどこかで自分を責め続けた。
私にあの方を引き止めるだけの力があれば……と。
幼少の頃から見守ってきたアレクシス様と、こんなにも長い間離れることはなかった。
アレクシス様は、今どこで何をされているのだろう?
お元気に過ごされているだろうか……。
一目で良い。
アレクシス様、もう一度あなたにお会いしたいですーー
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アレクシス失踪事件。
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