特別な力を得た代償は、満たされることのない永遠の渇きーー
レイチェル「そこをどきなさい」
ワイアット「レイチェル様……?」
ワイアット「旦那様はすでにお休みです。御用があるなら、明日に……」
レイチェル「うるさいわね!この屋敷を支配するだけじゃ飽き足らず、夫婦の寝室にまで口を出すつもり?」
ワイアット「レイチェル様……!」
ワイアット(変な考えを起こさなければ良いが……)
アレクサンダー「随分騒がしいな……何事だ?」
レイチェル「あなた……いいえ、アレクサンダー・ゴールド」
レイチェル「最後通牒よ」
レイチェル「ジュリアンを後継者に指名して。さもなくば、アレクシスを殺してあなたが築いてきたものを全て、壊してやるわ」
アレクサンダー「それは無理だ」
レイチェル「いいえ、できるわ」
レイチェル「あなたの手腕は見事だけど、恨みを持つ人間は少なくない」
レイチェル「反ゴールド同盟が、財閥もこの家もアレクシスも、全てを壊してくれる」
アレクサンダー「……なんて哀れな女だ」
レイチェル「なんですって?」
アレクサンダー「私よりもずっと優れた能力を持ち、300年もの長い時を生きているというのに……」
アレクサンダー「欲に塗れて、本当の幸福が何かということも知らない」
レイチェル「……」
アレクサンダー「お前と出会って、契約を結ぶ際に約束したはずだ」
アレクサンダー「私が持つ富や権力は、自由に使って良い。ただし、ゴールド家はアレクシスに継がせると」
レイチェル「あの時は、ジュリアンがいなかったもの」
レイチェル「私はあなたのために、自分の能力を捧げてきた。息子を後継者に望んで、何が悪いの?」
アレクサンダー「あぁ、ジュリアンはお前の息子だ。私の息子ではない」
レイチェル「……」
アレクサンダー「私が仕事に人生を捧げてきたのも、お前のような女と結婚したのも、全てはアレクシスのためだ」
アレクサンダー「アレクシスの存在がなければ、そもそもお前がこの家に立ち入ることはなかった」
アレクサンダー「ゴールド家の後継者は、アレクシスだ。撤回するつもりはない」
アレクサンダー「お前と契約した時から、覚悟は決まっている。後は好きにするが良い」
レイチェル「あぁ、そう」
レイチェル「それなら、好きにさせてもらうわーー」
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レイチェルは、登場人物の中で最年長です。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m