喉の渇きは満たせても、心の渇きまでは満たせないーー
ワイアット「ジュリアン様、こんな時間にお出かけですか?」
ジュリアン「……」
ワイアット「最近、夜遊びが過ぎますよ。学校からも連絡が来ています」
ジュリアン「説教するつもり?いっそのこと、戻って来なければ良いと思ってるくせに」
ワイアット「ジュリアン様……」
ワイアット「私は、あなたが生まれた時から知っています」
ワイアット「立派に成長されたとはいえ、まだ高校生。外に出れば、ゴールド家に好意を持つ者ばかりではありません」
ワイアット「ゴールド家の人間だというだけで、傷付けたり利用したりしようとする者もいる……」
ワイアット「私は、あなたが心配なのです」
ジュリアン「……」
ジュリアン「あんたは、兄さんの心配だけしていれば良い」
ワイアット「ジュリアン様……」
ジュリアン「お姉さん」
女性「……何?」
ジュリアン「美人だね」
ジュリアン「俺と一緒に遊ばない?」
10年前ーー
ジュリアン『はぁ……はぁ……』
レイチェル『ジュリアン?』
ジュリアン『お母さん…苦しい……。僕、病気なの?』
レイチェル『あぁ、喉が渇くのね』
レイチェル『おめでとう、これで私達の仲間入りよ』
ジュリアン『仲間……?』
レイチェル『いい、ジュリアン?私達レッド一族の血を引くものは、特別な力を持っているの』
ジュリアン『特別な力……?』
レイチェル『えぇ。私達は人間よりも優れた存在なのよ』
レイチェル『この力をもってすれば、人を操ることも、殺めることも容易い……』
ジュリアン『……』
レイチェル『ヴァンパイアとしての人生を受け入れなさい』
レイチェル『そうすれば、望むものは何でも手に入る。永遠にーー』
ジュリアン『望むものは、何でも……?』
ジュリアン「……」
ジュリアン「俺が望むものは、何一つ手に入らないじゃないか……」
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ジェシーにフラれ、ジュリアンに血を吸われる可哀想なお姉さん。
↓お姉さんがジェシーにフラれた話は、こちら。
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