いざという時に頼りになるのは、それまで築いてきた信頼関係であるーー
レイチェル「なによ、腹立つわね……」
リック「ご機嫌斜めですね」
リック「どうしたんですか?」
レイチェル「リック……」
レイチェル「別に。キースともめただけよ」
リック「……」
リック「旦那様の容体が思わしくないから、キースも落ち着かないのでしょう」
リック「でも、不思議ですね。教育係の仕事に支障はないはずですが……何か特別なことでもしているんですか?」
レイチェル「……」
リック「最近、キースは外出することが多い。財閥関係者と接触しているそうですが、レイチェル様は何かご存知なのでは?」
リック「旦那様に告げ口するつもりはありません。ただ、オイシイ話があるなら俺も混ぜて欲しいんです」
レイチェル「……」
レイチェル「あなたは、アレクシスが後継者になることを望んでいるんでしょう?」
リック「昔はね」
レイチェル「……昔?」
リック「旦那様のご容体が悪いというのに、顔も出さないんですよ?いい加減、アレクシス様には愛想がつきましたよ」
レイチェル「そう……」
レイチェル「実はねーー」
リック「ワイアット、少し話せるか?」
ワイアット「あぁ。どうした?」
リック「あいつら、ゴールド家の元親族達とつるんで悪巧みしているらしい」
ワイアット「元親族達?アレクサンダー様が、この屋敷から追い出した連中か?」
リック「あぁ」
リック「その親族や財閥の連中と手を組んで、『反ゴールド同盟』を作っているそうだ」
ワイアット「反ゴールド同盟?」
リック「何か手はあるか?」
ワイアット「……元親族に関する情報は調べられそうだが、財閥の人間には詳しくない」
ワイアット「なにより、使用人である私たちが口を出せるような問題でもない」
リック「……そうだな」
ジュリアン「それなら、俺に任せてよ」
ワイアット「ジュリアン様……!」
リック「大丈夫。ジュリアン様は『味方』だ」
ワイアット「……リック?」
ジュリアン「反ゴールド同盟の連中を調べて、始末すれば良いんでしょう?」
リック「始末って……そんな物騒な話じゃないですよ」
リック「そうですね……メンバーだけでも調べて、旦那様や財閥に報告しようかと」
ジュリアン「それで、結局始末するんでしょう?」
ジュリアン「一応、俺はゴールド家の人間だから、メンバーは調べられると思う。この件は俺に任せてよ」
ワイアット「しかし……」
リック「わかりました。始末云々は置いておいて、とりあえずメンバーのリストだけは手に入れてください」
ジュリアン「了解」
パタン
ワイアット「ジュリアン様に任せて大丈夫なのか?」
リック「平気だ。あの人は、俺たちよりもずっと優れた能力を持っているからな」
ワイアット「能力……?」
リック「それよりワイアット、キースから目を離すな」
リック「あの女に大した知恵はないが、入れ知恵している男が厄介だ」
ワイアット「……」
ワイアット「わかった」
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リックとジュリアンは、すっかりお友達。
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