春は終焉の時であり、出発の時でもあるーー
2ヶ月前ーー
セシル「空き巣に入られた?」
ケヴィン「あぁ、ずっと空き家にしていたからな……」
セシル「被害は?」
ケヴィン「幸い大した物は取られなかったけど、ドアの鍵は完全に壊された」
セシル「今後は対策を考えないとな」
ケヴィン「……」
ケヴィン「いや、ここは手放すことにした」
セシル「……は?」
ケヴィン「もう住む予定もないし……小さい土地と家だけど、売れば子供達の学費の足しにはなるだろう」
セシル「……本気か?」
セシル「だってここには、リリアンとの思い出が……」
ケヴィン「だからこそ、手放したいんだ」
ケヴィン「ここには幸せな思い出が詰まっているけど、同時に辛い思い出も詰まっている」
ケヴィン「リリアンが亡くなってもう4年だ。いい加減、整理しないとな」
セシル「……」
セシル「リリアンの墓はどうするんだよ?」
ケヴィン「共同墓地に移す予定だ。空き巣が入る家よりマシだろう?」
セシル「……」
セシル「なぁ、俺に考えがある」
ケヴィン「……考え?」
現在ーー
クロエ「テディ、こっちこっち!」
エマ「テディ、こっちおいで!」
セシル「クロエ、エマ。あまり遠くには行くなよ」
クロエ&エマ『はーい』
セシル「どうだ、気に入ったか?」
ケヴィン「……あぁ。見違えたよ」
ケヴィン「よく公園にするなんて思いついたな」
セシル「リリアンは賑やかなのが好きだっただろう?」
セシル「暗い墓地よりも、明るい公園にいる方を望むんじゃないかって思ったんだ」
ケヴィン「……お前は昔から、リリアンとも子供達とも、俺以上の何か特別な絆を持っているよな」
セシル「なんだそれ」
ケヴィン「ありがとう、セシル。お陰で気持ちに整理がついたよ」
ケヴィン「いつまでもリリアンのことを引きずっていたら、リリアンも浮かばれないよな」
ケヴィン「いい加減、前を向かないと」
ケヴィン「そう思えたのは、お前のおかげだ」
セシル「……ケヴィン」
ケヴィンの晴れやかな笑顔に、俺の中でも大きな転機を迎えた気がして……。
あるいは、リリアンにも認めて欲しいという気持ちが、どこかにあったのかもしれない。
気付いた時には、何年もひた隠しにしてきた想いが、口をついて出ていた。
セシル「ケヴィン、お前が好きだーー」
ケヴィン「……セシル」
ケヴィン「俺も……お前のことが好きだよ」
ケヴィン「俺たち、親友だもんな」
ケヴィン「さぁ、クロエ、エマ!帰って夕飯にしよう」
クロエ「うん、お腹空いたー」
エマ「テディおいで!帰るよ」
クロエ「セシル、何してるの?置いて行くよ」
セシル「……」
セシル「………………あれ?」
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そうじゃない。
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