過去の悪行は、いつか必ず精算する日がやって来る。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
イヴ「久しぶりね、お姉様」
レイチェル「急に戻って来るから驚いたわ」
レイチェル「ゴールド家には、上手く潜入できたの?まさか追い出されたわけではないでしょうね?」
イヴ「メイドとして潜り込めたわ。長期の休暇を戴いたから、帰宅しただけよ」
レイチェル「アレクシスを失脚させる方法は見つかったの?」
イヴ「まだよ。でも大丈夫、全て上手くいっているわ」
レイチェル「さっさとアレクシスの弱みを見つけて、ゴールド家を乗っ取るのよ」
レイチェル「こんな古臭い屋敷で過ごすのはうんざり。早くあの頃の生活に戻りたいわ」
イヴ「……」
イヴ「そうだわ、お姉様に見て頂きたいものがあるの」
レイチェル「何よ?」
イヴ「この家の地下で、立派な棺を見つけたの」
レイチェル「……そんなものあったかしら?」
イヴ「レッド家歴代の当主が眠った棺だそうよ」
イヴ「お姉様がこの家を離れている間に、きれいに掃除しておいたわ」
レイチェル「棺?古臭いわね。地下で眠るなんて嫌よ」
イヴ「そう……この家の当主であるお姉様に相応しい、煌びやかで荘厳な棺なのに……」
レイチェル「煌びやかで荘厳?」
レイチェル「……少し興味が湧いたわ」
イヴ「お姉様、寝心地はいかが?」
レイチェル「悪くないわね」
イヴ「良かった……」
イヴ「それなら、永遠にこちらで過ごしてはいかが?」
ガチャ
レイチェル「え?ちょっとイヴ、どういうつもり!?すぐに開けなさい!」
イヴ「……」
レイチェル「あぁ、そう。良いわよ、こんな棺私の力で壊して……え?」
レイチェル「どういうこと?どうして力が使えないのよ!?」
イヴ「お姉様、気に入ったかしら?」
イヴ「その横暴な態度と口を封じることのできる、正にお姉様に相応しい棺よ」
レイチェル「ふざけるんじゃないわよ!今すぐに開けなければ、後でひどい目に……」
ジュリアン「棺から出られないのに、どうやってひどい目に遭わせるっていうの?」
レイチェル「その声……ジュリアン?どうしてここに……?」
レイチェル「ちょうど良かった、さっさとここから出して頂戴」
ジュリアン「あのさ、今まで従順だったイヴが、急にこんなことをすると思う?」
レイチェル「え?まさか、あんた……」
イヴ「……」
イヴ「地下に呼び出して棺に閉じ込めるのが、頭を使った作戦?」
ジュリアン「こういう単純な奴には、単純な方法が一番なんだよ。現に上手くいったでしょう?」
イヴ「……」
レイチェル「ジュリアン!聞いているの?母親にこんな仕打ちをして、ただで済むと思わないでよ」
ジュリアン「母親?そうだったんだ。母親らしいことなんて何一つしてもらったことがないから、気づかなかった」
レイチェル「あんたのことを産んでやったのに、なんて恩知らずなの!?」
ジュリアン「あぁ、そう。俺だって、産んでくれなんてお願いしてないよ」
レイチェル「肝心な時に姿を消して……ゴールド家の当主にもなれなければ、母親にこの仕打ち?」
レイチェル「あんたなんか産まなければ良かった!ここから出たらすぐに消してやるから!!」
ジュリアン「……俺だって、もっとまともな母親が欲しかったよ」
イヴ「……」
ジュリアン「一応俺はあんたの息子ってことになっている。ということは、この家は俺に受け継ぐ権利があるってことでしょう?」
レイチェル「……何が言いたいのよ?」
ジュリアン「この家をもらったら、どうしようかな?古臭いインテリアを一掃して、寝室も改装しないと。あぁ……ダメだ」
ジュリアン「そういえば俺、今はゴールド家の後継者候補なんだった。ここに住むわけにはいかないか」
レイチェル「後継者って……どういうこと?」
ジュリアン「アレクシス・ゴールドから正式に指名されたんだよ。ゴールド家の次期当主にね」
レイチェル「何ですって……?」
ジュリアン「バカだね。息子として可愛がっておけば、もしかしたらゴールド家当主の母親になれたかもしれないのに」
ジュリアン「本当、哀れな女」
レイチェル「ジュリアン、あんた今更……」
ジュリアン「そうだ、ここは博物館にしよう。レッド家の歴史を残すんだ」
ジュリアン「地下を丸ごと埋め立ててね」
レイチェル「まさか……」
ジュリアン「散々、華やかな世界を見て来て疲れたでしょう?この誰も来ない真っ暗な地下でゆっくり休んでよ、母さん」
ジュリアン「俺ってなんて親孝行なんだろう」
レイチェル「待ちなさい、ジュリアン!ジュリアン!!」
ジュリアン「さようなら、母さん。永遠に」
レイチェル「ジュリアン!!」
イヴ「……」
ジュリアン「何してるの?行くよ、イヴ」
イヴ「本当に博物館にするつもり?」
ジュリアン「さぁね。少なくとも地下は、ニンニク敷き詰めてコンクリートで埋め立てる予定」
イヴ「……」
イヴ「これで、レッド家の歴史も終わりね」
ジュリアン「レッド家なんてなくても良いでしょう?」
ジュリアン「俺たちには、帰る家がある」
イヴ「……」
イヴ「そうね」
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釣り堀の魚より簡単に釣れるレイチェル。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m