永遠を生きることは、存在の意義を証明すること。
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アラン「それから?」
アシュリー「その後はどうなったの?」
ジュリアン「アレクシスの跡は、娘のアリシアが継いだよ」
アシュリー「知ってる!ゴールド家初の女性当主でしょう?」
ジュリアン「そう。アリシアの時代は、また色々あったけど……」
ジュリアン「長くなるから、この話はまた今度」
アラン「えー、今聞きたい!」
アシュリー「ジュリアンおじ様、続きを聞かせて」
アレックス「アラン、アシュリー」
アラン「お父様!」
アレックス「こんなところにいたのか」
アシュリー「お仕事は終わったの?」
アレックス「あぁ。お腹が減っただろう?家に帰ろう」
アラン「うん」
アシュリー「お母様を呼んで来る」
アレックス「………………」
アレックス「ジュリアン。また昔の話をしていたのか?」
ジュリアン「少しだけだよ」
ジュリアン「この屋敷にいると、昔のことを思い出すんだ」
アレックス「……」
ジュリアン「改修工事の打ち合わせは終わったの?」
アレックス「あぁ。思ったよりも費用はかかりそうだが、数年もすれば元通りだ」
ジュリアン「老朽化が深刻なら、取り壊せば良かったのに」
アレックス「それも考えたが、お前にとっては大切な屋敷なんだろう?」
アレックス「ゴールド家の先祖たちに祟られるのも嫌だから、もうしばらく使うことにする」
ジュリアン「懸命だね」
アレックス「……昔話も良いが、あの子たちにはあまり余計なことを話すなよ」
ジュリアン「余計なことって?」
アレックス「お前が200年以上生きているヴァンパイアだってことだ」
ジュリアン「わかってる。あの子たちが大人になるまで、言うつもりはないよ」
ジュリアン「不機嫌そうな顔は、誰かさんにそっくり」
アレックス「……アレクシスか」
アレックス「俺はお前の大好きな『兄さん』にそっくりらしいからな」
ジュリアン「アーノルドは大した功績を残さなかったけど、息子に『アレックス』って名前をつけたのは正解だね」
アレックス「アレクシスの愛称だから?」
ジュリアン「アレクシスの愛称であり、アレクサンダーの愛称でもある」
アレックス「そうかよ」
ジュリアン「名前負けしないように、アレックスも頑張らないとね」
アレックス「……」
アレックス「お前の兄さんと比較されても困る」
アレックス「ゴールド家新時代の祖、第二の創始者だぞ?俺がアレクシスに敵うはずがない」
アレックス「アレクシスを超えるどころか、この家を守るだけで精一杯だ」
ジュリアン「大丈夫」
ジュリアン「アレックスの時代は安泰だよ」
アレックス「どうして?」
ジュリアン「俺がいるから」
ジュリアン「アレックスの子供や孫たちも、みんな俺が守る。どんな手を使ってでも……ね」
アレックス「お前のその自信を少しは分けてほしいよ」
ジュリアン「San Myshunoの件が気になる?」
アレックス「……」
アレックス「ロナウド・ワイマンという男が経営する会社が、急成長しているらしい」
ジュリアン「ワイマン家の息子?」
アレックス「あぁ。父親とは違って、なかなかのやり手だ」
ジュリアン「そう……でも、ゴールド財閥の脅威になるほどの敵じゃない」
アレックス「やり口が厄介なんだ。うちの邪魔になるような動きばかりするから、役員連中が煙たがってる」
ジュリアン「確かまだ若かったよね?」
アレックス「あぁ。歳は28、イケメンで金遣いも派手らしい」
ジュリアン「完璧」
アレックス「え?」
ジュリアン「こっちの話」
アレックス「……どこへ行くんだ?一緒に帰らないのか?」
ジュリアン「用事を思い出した。寄るところがあるから、子供たちと先に帰って」
アレックス「………………」
アレックス「なぁ、ジュリアン」
ジュリアン「何?」
アレックス「寂しくないのか?」
アレックス「大好きな兄さんも、奥さんも子供も、全ての大切な人を見送って……たった一人で永遠を生きるなんて……」
アレックス「寂しくはないのか?」
ジュリアン「……」
ジュリアン「寂しくないと言えば、嘘になる」
ジュリアン「見送るだけなら耐えられなかっただろうね。でも……」
ジュリアン「長生きをしたおかげで、アレックスに会えた」
ジュリアン「アーノルドやアラン、アシュリーにも」
ジュリアン「それに……」
ジュリアン「案外、一人じゃないかも」
アレックス「……え?」
レイチェル「珍しいわね」
レイチェル「あんたが私を呼び出すなんて」
ジュリアン「母親が元気か気になったんだよ。良い息子でしょう?」
レイチェル「……何か裏がありそうね」
ジュリアン「San Myshunoにロナウド・ワイマンっていう金持ちの良い男がいるらしいよ」
ジュリアン「母さん暇そうだから、遊んであげたらどうかと思って」
レイチェル「また私を使ってゴールド家のライバルを潰す気?」
ジュリアン「いけない?金持ちの資産を食い潰して破滅させるのが、母さんの趣味でしょう?」
レイチェル「あんた私を何だと思ってるのよ?」
ジュリアン「素晴らしい才能を褒めてるんだよ」
レイチェル「……まぁ、良いわ」
レイチェル「ゴールド家のためになるのは癪だけど、久々に贅沢したいもの」
ジュリアン「頼りにしてるよ、母さん」
レイチェル「都合の良い時だけ母親扱いしないで」
レイチェル「良い男に取り入るには、まずは自分を磨かないと」
レイチェル「ジュリアン。あんたのカード、借りるわよ」
ジュリアン「……また俺のカード使う気?」
レイチェル「いけない?ゴールド家のためよ。カードの1枚や2枚、好きに使わせなさい」
ジュリアン「まったく……」
ジュリアン「棺から出すんじゃなかった」
ジュリアン(ゴールド家にカイルの子孫たち、厄介な母親……)
ジュリアン(俺には守るものが多過ぎる)
ジュリアン(まだ当分そっちには行けそうにないよ)
ジュリアン(兄さんーー)
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最終回です。1年9ヶ月掛かってしまいましたが、無事に完結することができました。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございましたm(_ _)m
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m