記憶の奥に封じ込めたつもりでも、ふとした瞬間に甦る。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
セシル「絵画教室?」
ケヴィン「あぁ」
ケヴィン「この間の個展で、絵の描き方を教えて欲しいって要望が多かったんだ」
ケヴィン「美術館が場所を提供してくれるっていうから、俺みたいに事情があって大学で学べなかった人や子供たちを対象に、教えてみることにした」
ケヴィン「あくまでボランティアだから、金にはならないけど……とりあえずやってみようと思って」
セシル「そうか」
セシル「良いんじゃないか。金にはならなくても、美術界に貢献できる」
セシル「リリアンも誇りに思ってるだろう」
ケヴィン「……だと良いんだけど」
ケヴィン「セシル、忙しいのに墓参りに付き合ってくれてありがとうな」
セシル「構わない。リリアンに婚約報告ができたし、久しぶりにこの街に来ることもできたしな」
ケヴィン「今から仕事か?」
セシル「あぁ。お前は美術館に行くんだろう?San Myshunoまで送る」
ケヴィン「ありがとう」
サマンサ「先生、絵画教室は盛況ですね」
ケヴィン「参加してくれる人がいなかったらどうしようかと思ったけど、思いの外多くて驚いたよ」
サマンサ「個人展では大人ばかりですが、今回は子供が多いですね」
ケヴィン「子供たちを見ていると、クロエとエマが小さかった頃を思い出すな」
サマンサ「子供たちの様子をゆっくり見て回ったらいかがですか?」
ケヴィン「そうするよ」
女の子「先生、どうしたら絵が上手くなるの?」
ケヴィン「たくさん描いてご覧。描けば描くほど、上手くなれる」
男の子「なんだ、サッカーと一緒じゃん」
ケヴィン「そうだね」
ケヴィン(興味本位で参加している子がほとんどだけど、この中から絵の道に進んでくれる子が出たら嬉しいな)
ケヴィン「……あれ?」
ケヴィン(この子も参加者なのか?)
ケヴィン「上手いな。美大生か?」
女の子「え?」
ケヴィン「……」
ケヴィン(リリアン……?)
女の子「はい。先生の後輩に当たります」
ケヴィン(驚いた。リリアンによく似ているな……)
女の子「先生?」
ケヴィン「あぁ、ごめん。俺、大学には……」
女の子「3週間だけ通っていたでしょう?大学の名簿に名前がありました」
ケヴィン「……」
ケヴィン「どうして君みたいな子がここに?初心者向けの教室じゃ、物足りないだろう?」
女の子「先生が絵画教室を開くと聞いて、興味を持ったんです」
女の子「先生のファンですから」
ケヴィン「そうか……ありがとう」
女の子「絵画教室が開催されるのは、今日だけですか?」
ケヴィン「いや、不定期だけどしばらく続ける予定だ」
女の子「良かった。また参加しても良いですか?」
ケヴィン「もちろん。君、名前は?」
女の子「リリーです。リリー・フォレット」
ケヴィン「リリー……?」
リリー「はい」
リリー「どうかしましたか?」
ケヴィン「あぁ、いや……なんでもない」
リリー「今日は参加して良かったです。まさか先生と直接お話できると思っていませんでした」
ケヴィン「来週にも絵画教室を開く予定だから、良かったらまた来て」
リリー「来週……ですか」
ケヴィン「都合が悪い?」
リリー「アルバイトが入っていなければ、参加させていただきます」
ケヴィン「バイトしてるのか?」
リリー「カフェとコンビニで働いています」
ケヴィン「2つも?」
リリー「苦学生ですから」
ケヴィン「そうか……」
ケヴィン「……」
ケヴィン「あのさ、リリー。よかったら、教室を手伝ってくれないか?」
リリー「手伝う?私がですか?」
ケヴィン「絵のスキルは十分だから、子供たちに指導するのを手伝って欲しいんだ。もちろん、バイト代は出すよ」
リリー「……良いんですか?」
ケヴィン「あぁ。時間があれば、絵の描き方も教えてあげるよ」
リリー「信じられない……ありがとうございます」
リリー「シフト調整して、必ず参加します」
----------------------------------------
データ消失事件でリリアンが消えてしまったので、リリーを作るのに苦労しました……。ごめんね、リリアン。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m